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特集 妊娠と薬に関する知識 薬剤師として必要なリスクコミュニケーション能力
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妊娠と薬剤Q&A


Q1 喘息治療薬を服用中に妊娠してしまいましたが大丈夫でしょうか?
また、出産後、授乳は避けた方が良いのでしょうか?
a 大丈夫です。妊娠中でも積極的に喘息の治療を行うことが大切です。
妊娠全期間を通じて喘息発作を避けることで、母子共に安全性が高くなります。
妊娠には母親の健康維持がきわめて重要で、それには喘息コントロールと緊急事態の回避が必須となります。
喘息の治療をきちんとしていれば、普通の人と変わらない安全な妊娠が期待出来ます。
しかし、授乳には注意が必要です。
喘息について
喘息は妊婦の合併症として比較的多い疾患のひとつであり、妊娠中の喘息は深刻な医学上の問題を引き起こす疾患であると報告されています。最近の大規模な調査報告によると、母親が喘息の場合、周産期死亡率の増加、子癇前症、早産ならびに低出生体重児のリスクが上昇することが示唆されています(表7)。喘息の重症度が高いほど、これらのリスクは増加し、喘息のコントロールが良好に行われていると、リスクは低下することが報告されています。

妊娠中に喘息発作を起こすと、表8に示すような状態が起こり胎児の生命が危機的状態になることが予想されます。このようなことが起こらないためにも、発作を起こさないよう に十分な喘息管理が必要となってきます。

患者さんの肺機能を維持し、血液を酸素化し胎児への酸素供給を確実にするためには、患者さんをモニターし治療の適切な調整を行うことが必要です。
前述したように、喘息の薬物治療による危険性よりも、喘息コントロールが不十分であることの方が胎児にとっては危険です(表9)。

薬物療法に関する注意点は2点あります。一つ目は、安全性の確立されていない新薬の使用は控えること。二つ目は、妊娠が期待される、または予想される時期から安全な薬剤に切りかえることです(表10)。

妊娠中の喘息患者に使用できると考えられている薬剤と注意点についてまとめます(表11)。

吸入ステロイド薬(ブデソニド、ベクロメタゾン)、吸入β2刺激薬(サルブタノール)、吸入抗アレルギー薬(クロモグリク酸)などの吸入薬を効果的に使用することが喘息ガイドラインでも推奨されています(表12)。
テオフィリンを投与する際は血中濃度を測定し、通常よりやや低めの5~12μg/mLを維持するようにします。また、妊娠後期(第3トリメスター:29~30週)(表5)ではテオフィリンクリアランスは減少し、テオフィリンは速やかに胎盤を通過するので、胎児に毒性を示す可能性があり注意が必要です。

周産期にキサンチン薬を投与されている場合は、たとえ治療域であっても胎児に一過性の頻脈、神経過敏症、嘔吐が観察されていますので注意が必要です。また、妊娠時慢性高血圧を生ずることがあります。 吸入β2刺激薬の全身投与は出産を遅延させたりするので、分娩近くには避けるほうがよいでしょう。

喘息薬の授乳に対する影響

吸入ステロイド薬(ブデソニド)では、乳汁におけるブデソニドの濃度が母親の血中濃度より低く、乳汁を摂取した乳児の血中濃度は検出限界以下であったと報告されています。 その他、β2刺激薬、テオフィリン、抗ヒスタミン、プレドニゾロンは、母親から乳児に対する授乳は禁忌ではないとされています。しかし、母親がテオフィリンを使用すると、敏感な乳児では興奮、授乳困難、神経過敏が生ずることがあります(表13)。

参考文献:
日本アレルギー学会監修:喘息予防・管理ガイドライン2015, 協和企画 2015, 234-237
大田 健,GINA2006[日本語版]監修,協和企画 2007,5,10
宮本昭正監修:妊娠中の喘息管理:薬物療法ガイド,ライフサイエンス出版 2005,10,17

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