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妊娠と薬剤Q&A


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添付文書の記載事項「妊婦・産婦・授乳婦への投与」の解釈について

 

医薬品の添付文書は公的な評価基準であり、「医療用医薬品の使用上の注意記載要領」
(薬発第607号平成9年4月25日)により「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」に関する表現方法が定められています。危険度の高い薬については必要に応じて[警告]、[禁忌]の欄で注意喚起される場合もあります。

「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項の記載に当たっては、別表(表1)のデータ(A)、理由(B)、注意対象期間(C)、措置(D) を適宜組み合わせたものを基本として記載することが定められています。

例えばH 2ブロッカーの「プロテカジン」の場合は、添付文書「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項には、「(1)妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]」と記載されています。

 

この記載は、「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」

(A)「7.妊娠中に使用した経験がないか又は不十分である場合」に該当し、

(B)「7.妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、」

(C)「1.妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には」
(D)「3.治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること」

を組み合わせて表現しています。

添付文書の記載を判断基準とするのが前提ではありますが、禁忌でないからといって一概に安全とは言えません。 逆に禁忌薬であっても、必ずしも危険性が高い訳ではありません。
それは禁忌とする際には危険性のほかに治療上の重要度も勘案されているからです。その結果、妊娠中であっても禁忌薬が投与される場合もあります。

例1)ニフェジピン
『動物実験で催奇形性作用が報告されている』ことから、妊婦(妊娠20週未満)又は妊娠している可能性のある婦人には投与禁忌ですが、妊娠20週以降の妊婦には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみニフェジピンが使用されます。
ニフェジピンを含めたCa拮抗剤を対象とした疫学研究にて、対照群との間に先天異常の発生率の有意差は認められないという報告があります。

文献:
Magee LA, Schick B, Donnenfeld AE, Sage SR, Conover B, Cook L, McElhatton PR, Schmidt MA, Koren G.: The safety of calcium channel blockers in human pregnancy: a prospective, multicenter cohort study. Am J Obstet Gynecol. 1996 Mar;174(3):823-8.

例2) 抗てんかん薬(バルプロ酸ナトリウム)
二分脊椎や心室中隔欠損等の心奇形などの催奇形性を生ずるとの研究報告がありますが、添付文書上は「使用禁忌」扱いではなく、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみ投与できる「有益性投与」になっています。
なぜなら、てんかん発作を予防するという治療上の有益性の方が高く、妊娠中であっても継続して服用することが必要なケースがあるからです。

以上、いくつかの例を説明してきましたが、添付文書への記載は、医師が妊娠もしくはその可能性を事前に認識していることを前提とした処方に際しての「使用上の注意」の判断基準なのです。妊娠していることには気がつかず服用してしまった場合など、添付文書の記載内容をそのまま伝えることがないように十分注意をすべきです。

なお、添付文書等の記載要領については、薬生0608第1号(2017年6月8日)で改訂が通知されました。今後、記載要領の改訂確認に留意してください。

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